大手求人情報会社で約10年間、採用を支援してきたAccompanyOn株式会社代表取締役の中野谷一貴。前職では、お客さまの採用が成功するとともに求人広告の掲載が終わり、採用を支援する自社の売上が下がるビジネスモデルの構造的な矛盾に直面していました。その課題意識から「採用成功をともに喜べる事業をつくろう」と独立を決意し、現在は応募支援「クルスタ」、AI面接代行「mendAI」、自社店舗運営の各事業を展開し、店舗特化型の採用コンサルティングにも取り組んでいます。
当社のミッションは「『働けて、楽しい』を、当たり前に。」。自社店舗の運営で得た知見を、お客さまへの採用支援に還元しています。目指すのは、「誰にでも、行きつけがある。」世界です。楽しく働ける店は、接客にも活気が出ます。するとお客さまが「また来たい」と思ってくれて、売上が伸びる。その成果が給与や休みとして働く人に返り、もっと楽しく働けるようになります。この繰り返しが、お客さまにも働く人にも「行きつけ」を増やしていく。当社はその入口にあたる採用を担い、応募や面接から定着、評価・組織づくりまで引き受けていきます。今回は、店舗経営と採用支援を組み合わせたコンサルティングを実践する理由をはじめ、当社が展開する各事業、起業の背景、進化を続ける当社のビジョンと、ここで働く醍醐味について、代表の中野谷に聞きました。
Profile
AccompanyOn株式会社 代表取締役中野谷 一貴なかのや かずき
2013年に株式会社マイナビへ入社。「マイナビバイト」の営業、八王子営業所の立ち上げ責任者、都内拠点の所長、アルバイト紹介事業の新規立ち上げを経て独立。現在は店舗に特化した採用支援、ホワイトニングサロンやドライヘッドスパをはじめとした自社店舗運営、応募支援「クルスタ」、AI面接代行「mendAI」を展開している。
求人業界での10年を経て、「採用成功」を一緒に喜ぶために起業を決意
これまでのキャリアについて教えてください。
2013年にマイナビに入社し、約10年間、一貫して「マイナビバイト」というアルバイト向けの求人媒体に携わりました。最初は営業を担当し、入社4年目ごろに八王子営業所の立ち上げ責任者を任されたんです。その後は都内拠点の所長を務め、アルバイトの紹介事業の立ち上げも経験しました。
大手企業でキャリアを歩むなかで、なぜ独立の道を選んだのでしょうか。
求人広告のビジネスは、お客さまが採用に成功して掲載を終えると、求人広告会社側の売上が下がります。本来喜ばしい採用成功が、求人を支援する会社にとっては売上減少となる。この構造を変えたいと思いました。そこで、独立後は、広告掲載ではなく、採用課題の解決に価値を置く事業を開始したんです。目指したのは、お客さまの採用成功を自社の成果として受け止め、採用成功を同じ立場で喜べる会社です。

店舗採用に特化した理由を教えてください。
店舗採用に特化した背景には、アルバイト採用を長く支援してきた経験と、店舗で働くスタッフのキャリアの選択肢を広げたいという思いがあります。店舗では接客だけではなく、売上管理、シフト調整、スタッフ育成なども必要です。そこで培う力は、店舗マネジメントや採用支援にも活かせると考えています。
当社は店舗運営と採用支援の両方を手がけています。そのため、本人の希望や適性に応じて、店舗から採用事業へ移る道もつくれます。店舗で身につけた力を新たな仕事で発揮し、働き続けられる環境とサイクルを築きたいですね。実際に、これまで3人のメンバーが採用事業へと移り、コアメンバーとして活躍している例もあります。
自社店舗で施策を検証し、現場志向の採用支援を届ける

他の採用支援会社と比べたとき、AccompanyOnならではの強みはどこにありますか。
一番の強みは、採用支援を行う僕たち自身が店舗を経営していることです。現在はホワイトニングサロンやドライヘッドスパの店舗で、求人の見せ方や募集条件による応募数・応募者層の変化を確かめています。新たな採用施策も、お客さまへ提案する前に自社店舗で運用し、成功例はもちろん、想定どおりに進まなかった原因や改善策も反映して提供します。
また、私自身は求人業界で1,000社以上の企業の採用に携わり、当社設立後は400店舗を支援してきました。採用支援の知見と店舗での実践により、現場に即した提案や一歩踏み込んだノウハウを提供できる点が、当社の強みだと思います。


一番の強みは、採用支援を行う僕たち自身が店舗を経営していることです。
現在の事業は、どのように連携しているのでしょうか。
当社は採用コンサルティングを軸に、求人広告代行や採用サイト制作、SNS・検索広告の運用などをお客さまの課題に応じて組み合わせています。店舗採用の流れを応募獲得から面接までつなぐのが「クルスタ」と「mendAI」です。
クルスタは求人原稿の改善や媒体運用、応募者との連絡、面接設定を支えます。続く初期面接をmendAIが担うことで、店長の負担を軽減する仕組みです。両サービスは自社店舗でも運用し、応募対応の工夫や課題を確かめて、得た知見を顧客支援へ還元しています。
応募支援
求人原稿の改善、媒体運用、応募者との連絡、面接設定まで。応募が集まるところから面接の手前までを引き受ける。
AI面接代行
初期面接をAIアバターが代行。応募者は都合のよい時間に回答でき、店長は最終的な採用判断に集中できる。
そのような支援が必要とされる店舗採用の現場では、どのような課題が起きていますか。
店舗のアルバイト採用では、応募獲得や応募者対応を各店舗に任せているケースも少なくありません。専任の人事担当者を置きにくい企業では、店長が店舗運営のかたわら、求人や面接にも対応しているのが現状です。
しかし、店長は店舗運営のプロであっても、採用の専門家とは限りません。採用の知識や時間が十分でなければ、応募が集まらず、限られた候補者から採用を急ぐことになります。仮に採用がうまくいかずに店舗の運営に影響を及ぼした場合、売上が下がり、採用にリソースをかけられなくなる……というスパイラルに陥ります。そうした課題を解決しようと、当社は応募者対応や初期の面接などを引き受け、店長が店舗運営に時間を使える体制を整えています。
店長の負担に対し、AI面接代行「mendAI」はどのように機能しますか。
mendAIは、店長が行う面接の一部をAIアバターが代行するサービスです。応募者は都合のよい時間に、企業があらかじめ設定した質問へ回答できます。回答は文字起こしされ、企業側が確認できるレポートにまとめられるほか、応募者情報や連絡履歴もダッシュボードで一元管理できます。
こうした仕組みは、応募の間口を保ちながら、応募後に詳しい希望を確認したい場面にも有効です。例えば「週1日から勤務可能」と掲載しても、曜日や時間帯の確認は欠かせません。細やかな条件を求人原稿に並べれば応募の間口が狭まり、一人ずつ聞けば店長の負担が増えます。mendAIが勤務希望や経験を事前に聞き取ることで、店長は条件の確認と最終的な採用判断に集中しやすくなり、質の高いマッチングに近づきます。テクノロジーを使って、店舗の「採用のボトルネック」を解消していく。これが今の僕たちのスタイルです。
当社の採用支援を受けたお客さまには、どのような変化が生まれていますか。
当社の支援を受けて採用体制が整った後、店舗運営が安定し、売上アップや新規出店につながったお客さまも複数おりました。売上は商品やサービス、店舗運営などの要素も重なるため、当社の支援だけが理由とはいえません。それでも、増店時に「次の店舗の求人もお願いします」と声をかけていただけると、採用して終わりではなく、その先の成長まで支援できたと感じますね。
「働けて、楽しい」から、働く人と店舗の好循環を広げる
AccompanyOnのミッションとビジョンについて、教えてください。
ミッションは「『働けて、楽しい』を、当たり前に。」です。仕事そのものの面白さに加え、働き方や収入が変わって選択肢が広がり、できることが増えて成長を実感できる状態も含みます。働くことを通じて、生き方そのものがよくなる人や企業を増やしたいと考えています。
その先に掲げるビジョンが「誰にでも、行きつけがある。」です。対象は自社のメンバーだけでなく、採用や定着を支援する店舗で働く方も含みます。働く人が生き生きと力を発揮すれば、接客や店舗運営の質が高まり、お客さまの再来店につながる。再来店が積み重なって売上が安定し、給与や休みとして成果を還元できれば、働く人にも別の店を楽しむ余裕が生まれます。働く人、店舗、お客さまの間にこの循環を広げたいですね。
The Cycle
会社情報ページにも載せている循環図。この一番上「生き生き働く」の入口=採用を、私たちが担う。
その未来に向けて、事業をどのように広げますか。
現在おもに支援しているのは、求人原稿や媒体運用、応募者対応、面接までの採用業務です。今後は採用後の研修、定着支援、評価・給与設計、組織構築へ領域を広げます。最終的には、採用から定着、組織の基盤づくりまで、店舗企業の人事機能を一気通貫で引き受ける「外部人事部」を目指しています。人を採るだけで終わらず、採用した人が現場で力を発揮し、働き続けられる環境まで支える考えです。
具体的には、事業全体で売上高30億円、自社店舗の展開は15店舗を目標にしています。お客さまの店舗運営を支えるには、自社でも現場経験を重ねる必要があると考えています。まずドライヘッドスパを5店舗増やし、その後は飲食や物販にも挑戦する予定です。自社で多様な店舗を運営し、得た知見を顧客支援へ還元する方針は変えません。
事業を広げながらミッションやビジョンを実現するために、どのような行動指針を掲げていますか。
当社の行動指針は3つです。「ありがとうをいう。ありがとうをもらう。」は、相手から「お願いしてよかった」と言われるまで向き合う姿勢を示します。「みんなで楽しもうとする。」には、部署や事業を越えて頼り合い、自分たちから楽しさをつくる思いを込めました。「まず一歩。」は、迷ったときほど行動し、得られた結果を次の改善へつなげる姿勢です。
まず自社で施策を試し、効果と課題の両方を整理する。そのうえで、ミッションやビジョンに沿った支援をお客さまへ届けます。
遠回りを楽しみ、行動しながら新しい事業をつくる仲間を求める

組織づくりでは、どのようなことを大切にしていますか。
まずは「スピード感」です。スタートアップである以上、一歩目をすぐ踏み出せる組織を目指しています。そして、メンバーの意見を尊重し、それぞれが動きやすい環境をつくることも大切です。スタッフには「顧客から感謝される仕事をしよう」と伝えています。
顧客の立場で考えてほしいからこそ、経営者である僕は当社で働くスタッフの満足度にも目を向けたい。現在は1on1を行い、一人ひとりが仕事やキャリアに望むことを確認しています。当社のミッション・ビジョン・バリューに共感してくれたメンバーが長く、高いモチベーションで働ける環境を整えていくのが私の役割です。
どのような人に仲間になってほしいですか。当社は大学生インターンの採用にも積極的ですよね。
好奇心があり、まずは「やってみよう」と行動できる人です。当社では新しい事業を走りながらつくっているため、仕事の進め方に正解があるとは限りません。mendAIも、人の手で面接代行を運用したところ、想像以上に負担が大きいとわかり、AIを活用する仕組みへ発展しました。
まずは小さく試し、うまくいかなければ原因を考える。失敗も学びと捉え、遠回りを含めて事業づくりを楽しめる人と働きたいですね。失敗しても「一つダメな方法が分かった、ラッキー」と思えるポジティブさがあれば最高です。
当社では、大学生インターンも店舗づくり、スタッフのマネジメント、採用支援、新規事業づくりに触れられます。将来的に人事領域に興味がある学生さんなら、当社での経験は確かな武器になるはずです。
失敗しても「一つダメな方法が分かった、ラッキー」と思えるポジティブさがあれば最高です。
入社した方には、将来どのような役割を任せたいですか。
将来は、一つの事業を担う責任者になってほしいですね。まずは店舗運営や採用支援の実務を経験し、本人の希望や適性に応じて担当範囲を広げてもらいます。その先で、面接代行や研修、人材の定着支援などの事業を任せられるリーダーを目指してほしいと考えています。
当社では、ライフステージが変わっても在宅で働けるようなキャリアパスを用意しています。例えば出産や育児を機に働き方を変えたい時、店舗で得た知識を活かしてバックオフィスやコンサルとして活躍することも可能です。
最後に、この記事を読んでいる方、特に若い世代の方へメッセージをお願いします。
学生のうちは、さまざまな人や会社に触れ、自分の目で確かめてほしいですね。大手企業を目指している方も、スタートアップへ足を運び、仕事の進め方や働く人の雰囲気を見てください。複数の環境を比べ、自分がどこで力を発揮したいかを考える。その選択肢の一つとして、当社にも興味を持ってもらえたら嬉しいです。
私たちが大切にしているのは、答えのない課題に対しても、まず行動し、得られた結果を次の改善へつなげる姿勢です。そのプロセスを楽しめる仲間とともに、働く人が生き生きと活躍でき、お客さまが誰かに勧めたくなる店舗を増やしていきたいですね。
「おすすめのお店」「行きつけのお店」が増える社会は、きっと今よりずっと面白い。
そんな未来を、採用と店舗経営の力で一緒に作っていける仲間を待っています。